建設業法改正後の経営業務の管理責任者の要件について

目次

経営業務の管理責任者が無くなった?

令和2年10月1日から建設業法が改正されました。それに伴って、許可要件や様式の一部が変わりました。

主な許可取得に関しての改正点は,経営業務の管理責任者の要件の緩和と社会保険加入になります。


本記事では, 経営業務の管理責任者の要件の緩和について,従前の要件と比較して解説したいと思います。

改正前では,「経営業務の管理責任者が無くなる」のような噂が流れてたりしてましたが,実際は改正前の要件をベースに要件の追加と若干の修正がされているイメージです。これまで個人の経験により担保していた経営の適正性を、建設業者の体制により担保することと変わっています。

改正前と改正後を比較する理由としましては,改正後は改正前の要件をベースにしてますので,建設業許可を既に取得されている方にとっても,建設業許可を取得するために前から準備していた方にとっても理解がしやすく,かつ,理解が深くなるからです。

令和2年10月1日改正前の経営業務の管理責任者の要件

まず,令和2年10月1日改正前の経営業務の管理責任者の要件を確認したいと思います。

一見複雑に見えますが,おそらく多くの方は改正後であっても,この改正以前のベースの要件をまず理解した方が,建設業許可の取得という観点では有用だと思われます。

理由は,改正後の要件は,ほぼ改正前の要件に新しく要件を追加するという形を取っており,追加の要件部分は,割と規模が大きい会社の場合で役員の役割が複雑な会社で適用するようなイメージだからです。

つまり,改正後の追加部分より,従来の部分の少し変形した部分を多くの場合使っていくことになると思われます。

では,従来の要件を見ていきます。改正後に変わる部分に下線を引いておきますので,その点を意識されると改正後の説明の理解が早くなると思います。

一つ目の要件

一つ目が,建設業の許可を受けようとする業種に関し5年以上の経営業務の管理責任者としての経験を有する事が,経営業務の管理責任者になるための要件でした。

二つ目の要件

二つ目が,建設業の許可を受けようとする業種に関して経営業務の管理責任者に準ずる地位(使用者が法人である場合においては役員に次ぐ職制上の地位をいい,個人である場合においては当該個人に次ぐ職制上の地位をいう。)にある者が(1)又は(2)を有すること。,

(1)経営業務の執行に関して,取締役会の決議を経て取締役会又は代表取締役から具体的な権限委譲を受け,かつ,その権限に基づき,執行役員等として5年以上建設業の経営業務を総合的に管理した経験を有する。

(2)6年以上経営業務を補佐した経験を有する。

三つ目の要件

三つ目が,建設業の許可を受けようとする業種以外の業種に関し,経営業務の管理責任者としての経験が6年以上あるか,又は,経営業務の管理責任者に準ずる地位にあって取締役会の決議を経て取締役会又は,代表取締役から経営業務の執行に関して具体的な権限委譲を受け,かつ,その権限に基づき,執行役員等として建設業の経営業務を総合的に管理した経験を有する事でした。

改正前の要件のまとめ

一つ目と二つ目の要件の部分に,下線が引いてあります。この「 建設業の許可を受けようとする業種に関し 」の部分が,改正後は,「建設業に関し」と変わります。

改正前では, 例えば,一つ目の要件を見ると「 建設業の許可を受けようとする業種に関し 」 とありますので,建築一式工事で建設業許可を取得したい場合は,建築一式工事での経営業務の経験が5年必要という意味です。そして, 三つ目の要件で経営業務の管理責任者としての経験が6年以上有れば,経営経験が無い業種についても許可が取得できるという事でした。

令和2年10月1日改正後の経営業務の管理責任体制の要件

では,次に,改正後の要件を見ていきましょう。まず,以下のイの(1),(2),(3)が 改正前の経営業務の管理責任体制の要件に対応するものになります。

 改正で従来の要件に修正が入った部分

常勤役員等のうち一人が次のいずれかに該当する者であること。

(1) 建設業に関し五年以上経営業務の管理責任者としての経験を有する者
この(1)の要件は,改正前の一つ目の要件に対応しています。下線の部分が「建設業に関し」と変わったことにより,どんな業種でも5年の建設業の経営経験があれば要件が満たされることになりました。

(2) 建設業に関し五年以上経営業務の管理責任者に準ずる地位にある者(経営業務を執行する権限の委任を受けた者に限る。)として経営業務を管理した経験を有する者
この(2)の要件は,改正前の二つ目の要件の(1)に対応しています。

(3) 建設業に関し六年以上経営業務の管理責任者に準ずる地位にある者として経営業務の管理責任者を補助する業務に従事した経験を有する者
この(3)の要件は,改正前の二つ目の要件の(2)に対応しています。

改正前の三つ目の要件は,改正後のイ(1)(2)が「建設業に関し」と規定される事により,必要で無いものになりましたので対応するものが無いです。

ロ 改正で新しく入った部分

次に,改正で新しく加わった部分について見ていきます。

要件の条文自体を引用しているので,読みにくいと思いますので,条文部分はあまり深く考えず,その下の解説を読んで頂くと良いでしょう。

 常勤役員等のうち一人が次のいずれかに該当する者であつて、かつ、財務管理の業務経験(許可を受けている建設業者にあつては当該建設業者、許可を受けようとする建設業を営む者にあつては当該建設業を営む者における五年以上の建設業の業務経験に限る。以下このロにおいて同じ。)を有する者、労務管理の業務経験を有する者及び業務運営の業務経験を有する者を当該常勤役員等を直接に補佐する者としてそれぞれ置くものであること。

(1) 建設業に関し、二年以上役員等としての経験を有し、かつ、五年以上役員等又は役員等に次ぐ職制上の地位にある者(財務管理、労務管理又は業務運営の業務を担当するものに限る。)としての経験を有する者

(2) 五年以上役員等としての経験を有し、かつ、建設業に関し、二年以上役員等としての経験を有する者

では,解説したいと思います。この改正で新しく入った部分で注目すべき点は,要件を満たす人材が二人以上必要になります。

まず初めのロの「 常勤役員等のうち一人が次のいずれかに該当する者」という事で,(1)か(2)の要件を満たす常勤役員等が一人必要です。
次に, 「財務管理・労務管理・業務運営の業務経験を有する者を当該常勤役員等を直接に補佐する者として置く 」という事で,三つの業務を兼任するならば1人必要です。(3つの業務を分担であれば3人)

つまり常勤役員等が1人,その常勤役員等を補佐する人が1人以上で2人以上の体制になるという事です。

また,補佐する者の 財務管理・労務管理・業務運営の5年以上の業務経験は許可申請等を行う会社での経験である必要がある点も注意が必要です。

社会保険加入

適切な社会保険に加入していることの要件が加わりました。

健康保険厚生年金保険,雇用保険に加入が必須になり,今まで申請の際に提示書類であったものが,提出書類に変わりました。

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