経営事項審査

公共工事の入札に参加したい場合,経営事項審査を受ける必要があります。(27条の23)
経営事項審査は,経営規模,経営状況分析,技術力,その他の審査項目で構成されます。

公共工事を受けるメリット

  • 不況の時でも経営が安定する
  • 公共工事ならではの、大規模な工事に携わることができる
  • 公共工事の実績が大きな信用となる

小規模の建設業者

業者さんから、小規模の会社でも、公共工事は可能かという質問はよく受けます。
この点に関しては、公共工事は景気刺激対策の一環という側面もあるため、多くの業者が関わる事ができるように工事を分割したり工区を分けたりの工夫がされています。

また、地域の経済活性化を目的に地元業者を優先するような工夫もされています。
特にコロナ禍であらゆる業種が経済的にダメージを受ける中で、一つの経済対策として、公共工事というのは国としても対策を打ちやすいところであります。

上記のメリットでも触れている点ですが、不況でも経営が安定しやすくなるので、規模に関わらず、経営事項審査を受けて、入札参加資格申請をすることはお勧めいたします。

経営事項審査の評点

経営事項審査の評点は,「経営状況」の評価と「経営規模等」の評価と大きく2つに分ける事が出来ます。

「経営状況」の評価は,民間の分析機関によって行われます。また,「経営規模等」の評価は,許可を取得している行政庁によって行われます。

そして,「経営状況」の評価と「経営規模等」の評価を合わせて,「総合評定値」を取得することになります。

経営事項審査で点数を取得した後に入札に参加することになりますが,入札に参加する際に取得した点数でランク付けされます。工事を受注するという点で見ると,必ずしも,高いランクを取得する事が良いというわけではないのが,難しいところでもあり,面白いところでもあります。

例えば,高い順のランクとしてABCDとあったとして,AよりもBのランクの方が発注数が多かったりしますので,入札に参加する予定の自治体の過去の発注等を研究して,自社にとって有利なランクを狙っていくというのが非常に大事になります。

総合評定値

総合評定値Pは,申請業種ごとに算出されます。
経営規模Xと技術力Zが,申請業種ごとに異なるのが理由です。

総合評定値Pの算出方法は以下になります。

左の数式が, 総合評定値Pの算出方法になります。
そして右が,構成要素になります。右の算出方法は,直感的に内容を捉えやすいようにP点に占める割合を除いてますので注意してください。

経営規模

経営規模の評価は, 工事種類別年間平均完成工事高 X1と 自己資本額及び平均利益額 X2より行われます。

P点に占める割合は, 工事種類別年間平均完成工事高 X1 が25%と自己資本額及び平均利益額 X2が15%となります。
つまり経営規模に関する指標が全体の半分近くを占めている事になります。

工事種類別年間平均完成工事高

自己資本額と平均利益額

経営状況

経営状況の分析Yは, 負債抵抗力, 収益性・効率性, 財務健全性, 絶対的力量により行われます。P点に占める割合は, 20%となります。

この経営状況分析は,登録経営状況分析機関により算出されます。

ですので,経営事項審査を受ける前にまず経営状況分析申請を行うことになります。
少し分かりにくいかもしれませんので,経営事項審査を受ける前の全体の流れを説明します。

まず,毎年の決算終了後4か月以内に建設業許可業者は決算変更届を提出する必要があります。そして,決算変更届は多くのケースで,税理士さんが①決算書類を作成後に作る事になると思います。

①決算書類作成後,②決算変更届の作成と並行して経営状況分析申請も進めます。そして,③決算変更届の提出前に経営状況分析申請を行います。理由は, 経営状況分析申請の際に④財務諸表を修正する必要が出てくる事があるため,先に決算変更届を提出してしまうと決算変更届の訂正が大変になるからです。

⑤ 経営状況分析の結果が出た後は,決算変更届を提出し, ⑥経営事項審査を受ける流れになります。

では, 経営状況分析の話に戻りたいと思います。

負債抵抗力

  • 純支払利息比率
  • 負債回転期間

収益性・効率性

  • 総資本売上総利益率
  • 売上高経常利益率

財務健全性

  • 自己資本対固定資産比率
  • 自己資本比率

絶対的力量

  • 営業キャッシュフロー
  • 利益剰余金

技術力

技術力の評価は, 技術職員数と元請完成工事高に基づいて行われます。 P点に占める割合は, 25%となります。
工事種類別年間平均完成工事高 X1と同じ25%ですので,非常に重要な項目になります。

  • 技術職員数
  • 元請完成工事高

その他の審査項目(社会性等)

社会性等の評価は, 労働福祉の状況, 建設業の営業継続の状況,防災活動への貢献の状況,法令順守の状況, 建設業の経理の状況, 研究開発の状況, 建設機械の保有状況, 国際標準化機構が定めた規格による登録状況, 若年の技術者及び技能労働者の育成及び確保の状況, 新規若年技術職員の育成及び確保の状況で構成されます。

P点に占める割合は, 15%となります。

  • 労働福祉の状況
  • 建設業の営業継続の状況
  • 防災活動への貢献の状況
  • 法令順守の状況
  • 建設業の経理の状況
  • 研究開発の状況
  • 建設機械の保有状況
  • 国際標準化機構が定めた規格による登録状況
  • 若年の技術者及び技能労働者の育成及び確保の状況
  • 新規若年技術職員の育成及び確保の状況

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