技能ビザ(外国人料理人)

本記事では,外国人の料理人等の特殊な分野の熟練した技能を要する業務に従事する際に必要な技能ビザについて解説します。

外国人料理人が日本で働く際に必要なビザ

この技能ビザは主に,外国人料理人の方が日本で料理人として働く際に必要なビザになります。

従事する業務内容

外国で考案された日本では特殊と考えられる料理の料理人である必要があります。

入管法上,「本邦の公私の機関との契約に基づいて行う産業上の特殊な分野に属する熟練した技能を要する業務に従事する活動」と規定されています。

例えば,中華料理,韓国料理,フランス料理,インド料理等が該当します。注意しないといけない点は,ラーメン,皿うどん,カレーライスのような食べ物は,起源を辿れば中華料理やインド料理かもしれませんが,高度に日本化した料理と考えられており,技能ビザの許可は下りません。※余談ですが,チャーハンとシュウマイは中華料理と考えられています。

もう少し掘り下げてみたいと思います。中国人の料理人の方で,「技能」ビザを取得を考える際,職業資格証明書のコピーを提出することになると思います。※パスポートみたいな形をしています。

この職業資格証明書の中に,資格であったり,その資格のランクが書いています。この中国の資格制度では,ランクが5段階に分けられています。

そして,初級ランクの5級を持ってるだけでは, 「産業上の特殊な分野に属する熟練した技能を要する業務に従事する活動」 をするとは認められないです。つまり技能ビザは取れないです。

当該専門料理店での実務経験が必要

この技能ビザの取得には,10年以上の実務経験が必要になります。この10年以上の実務経験は,ビザの申請書に,単に10年の実務経験があると記載するだけでは足りなく,その事実を裏付けする資料を提出する必要があります。※当該料理の調理や食品の製造に関する科目を外国の教育機関で専攻した機関も含みます。

入管も,その実務経験が事実かどうか電話での調査や現地の日本大使館が調査を行っているみたいです。原則は10年以上の実務経験が必要ですが,タイ料理は経済上の連携の協定によって5年以上の実務経験で技能ビザの取得が可能になっています。

実務経験が認められる範囲

「技能」ビザの取得の際に気を付けなければいけない点は沢山あるのですが,特に気を付けた方が良い点は実務経験が認められる範囲です。

例えば,25歳以下の方で「技能」ビザを申請しても不許可になる可能性が結構高かったりします。理由は,10代前半での経歴は,料理の調理又は食品の製造に係る技能で外国において考案され我が国において特殊なものを要する業務の実務経験と考えられる可能性が低いためです。

実務経験に関しての注意点

「技能」ビザは,主な就労資格である「技術・人文知識・国際業務」ビザと違い,学歴ではなく職歴を基準として許可をしています。申請の際に,在職証明書を提出することになりますが,この在職証明書の偽造は多いと聞きます。

なので,入管もかなり調査されているみたいです。「技能」ビザは,この実務経験の立証が本当に難しくて不許可になられる方が多いイメージがあります。ですが,虚偽の申告をすると,かなり厳しい罰則もありますし,絶対にしてはいけません。

あと,10年以上の実務経験に数か月足りないですけど大丈夫ですか?と質問をよくいただきますが,10年以上は絶対必要です。

就労ビザでは会社も審査されます。

就労ビザの取得の際には,ビザを取得申請する外国人本人はもちろん,雇用する会社も審査されます。

事業が継続性・安定性・適正性がある。

会社がしっかり,継続して運営していけるか,安定性があるかも決算書を提出して審査されます。会社がなくなってしまったり,お給料が払えず,外国人が路頭に迷うのを防ぐためと言われています。

事業の適正性は,法律をしっかり守って必要な手続きをしているか,事業を行うのに必要な許認可を取得しているか等も審査されます。

店舗の規模

一般的に20~30席は必要と言われています。高級料理店であれば,座席が少なくても可能性があります。技能ビザを取得する外国人の方の必要性,その店舗の規模で外国人料理人が何人ぐらいが相当か等が総合的に判断されます。ビザの申請書類で,しっかりと必要性・相当性を立証したほうがいいです。

報酬

他の就労ビザと考え方は同じです。報酬は,日本人が従事する場合と同等かそれ以上である必要があります。

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