小売業、建設業、不動産業、飲食業、美容業など、これから独立・開業を目指している方の中には、日本政策金融公庫からの融資を選択肢に考えている方も多いでしょう。
しかし、「審査はどのくらい厳しいのか?」「自分は通るのだろうか?」と不安を感じている方も少なくありません。
この記事では、日本政策金融公庫の創業融資に関する審査のポイントや、審査に通らない主な理由について詳しくご紹介します。審査の仕組みを正しく理解することで、融資成功への一歩を踏み出す参考にしていただければと思います。
日本政策金融公庫の審査基準は公開されていません
日本政策金融公庫では、融資審査の具体的な基準を公表していません。そのため、「審査が甘いのか厳しいのか」「他の金融機関と比べてどうか」といった点を客観的に比較することはできません。
実際に日本公庫の担当者に確認したところ、「審査基準は非公開です」という回答がありました。このことからも、日本公庫の審査基準は、いわゆる「ブラックボックス」となっており、詳細な判断基準は明らかにされていないことがわかります。
創業融資を受けるために日本政策金融公庫の審査について調べている方は、「明確な基準が提示されていないこと」を理解したうえで、ご自身の準備(事業計画や自己資金、経験など)を整えることが重要です。
審査通過率も公表されていません
日本政策金融公庫では、審査基準だけでなく、審査通過率についても公式には公開していません。そのため、「どの程度の人が融資に通っているのか」を明確に知ることはできず、他の金融機関と比べて審査が甘いのか厳しいのかを判断する材料が乏しいのが実情です。
審査通過率を非公開にしている理由については明らかにされていませんが、公平性の確保や、情報の誤用を避けるためなど、何らかの事情があると推測されます。
なお、一部では「日本政策金融公庫の審査通過率は約50%程度」といった情報が見られることもありますが、その数値に公式な根拠はありません。また、融資の通過率は時期や政策、申請内容によって変動する可能性があるため、あくまでも参考程度にとどめておくべきでしょう。
審査に不安がある方へ ― 審査落ちの主な要因を把握しておきましょう
日本政策金融公庫の創業融資を申し込む際、「審査に通るか不安」という方は少なくありません。なかでも、返済能力に不安があると判断されると、融資が通らない可能性が高まります。
返済能力の評価は一つの項目だけでなく、複数の要素を総合的に見て判断されます。審査に備えるためにも、主なチェックポイントをあらかじめ押さえておくことが大切です。
✅ 返済能力に関わる主なチェックポイント
項目 | 内容の例 |
---|---|
創業計画 | 事業の実現可能性、収支見通しの妥当性など |
自己資金 | 金額の大きさ、資金の出どころ |
他社からの借入 | 借入件数、残債の状況など |
信用情報 | 過去の返済履歴、信用情報機関の記録 |
上記のいずれかに問題があると、審査にマイナスの影響を与える可能性があります。日本政策金融公庫の融資を検討している方は、これらの点を事前にチェックし、不安要素を整理しておくことが重要です。
創業計画は審査で重視されるポイントのひとつ
創業融資の審査では、提出する「創業計画書」が返済能力の重要な判断材料となります。計画内容に不備や説得力の欠如があると、審査を通過できない可能性もあるため、慎重に作り込むことが大切です。
✅ 創業計画で見られる主なポイント
チェック項目 | 内容の例 |
---|---|
事業の実現性 | ・収益が見込めるか ・市場のニーズに合っているか ・継続的に運営できる見込みがあるか |
数字の整合性・根拠 | ・売上や利益予測に無理がないか ・数値に矛盾がないか ・根拠が示されているか |
創業計画は単なる「提出書類」ではなく、事業の実行力と返済能力を示す根拠資料です。事業の見通しが曖昧だったり、数字に一貫性がなかったりすると、融資担当者の信頼を得るのが難しくなります。
創業時の不安を少しでも減らすためには、まずご自身の計画を客観的に見直し、必要であれば専門家のアドバイスを取り入れながら準備を進めていくことをおすすめします。
自己資金の状況は審査に大きく影響します
創業融資の審査では、自己資金の金額や出所が適切かどうかも重要な判断材料となります。資金の準備状況に疑問が生じると、計画の信頼性自体が問われる可能性があるため、注意が必要です。
✅ 自己資金に関するチェックポイント
チェック項目 内容の例
自己資金の金額 ・必要な初期費用に対して十分な資金があるか
・過大ではないか
・金額に一貫性があるか
自己資金の出所 ・どのように貯めた資金か
・短期的な借入ではないか
・資金の流れが明確か
公庫の担当者は、通帳などの取引履歴を通じて、資金の出どころや蓄積の経緯まで細かく確認します。たとえ必要な金額が揃っていても、急な入金や不明瞭な出所があると、自己資金として認められない可能性もあるため要注意です。
創業時に必要な資金をどのように準備してきたのか、また、事業にどれだけ自己資金を投じる覚悟があるか――その姿勢やプロセス自体が、審査の評価につながります。
自己資金の確認は預金通帳で行われます
創業融資の申請時に記入する創業計画書には、自己資金の金額を記載することになりますが、これはあくまで自己申告ベースの情報です。実際の審査では、日本政策金融公庫の担当者が預金通帳をもとに自己資金の金額や出所を確認されます。
審査では以下のような点がチェックされます:
- 本当にその金額が口座にあるか
- 計画書と通帳に矛盾がないか
- どのような形で資金が貯まってきたか(出所)
つまり、自己資金の信頼性は「通帳の履歴」が証明材料となります。急な大口入金や、出所の不明な資金などがあると、資金の評価が下がる可能性があるため注意が必要です。
他社借入の状況も審査に影響します
創業融資の審査では、他社からの借入状況も重要な判断材料となります。既存の借入が多すぎる、または返済状況に問題がある場合、融資審査に影響を及ぼす可能性があります。
✅ 他社借入に関するチェックポイント
チェック項目 | 内容の例 |
---|---|
他社借入の件数 | ・銀行からの借入件数 ・消費者金融やカードローンの件数 ・クレジットカードのリボ払いやキャッシング |
他社借入の残高 | ・各借入先の残高 ・月々の返済額 ・借入総額が事業計画に与える影響 |
審査では、他社借入の件数や残高が問題となることがあります。例えば、過剰な借入がある場合や、返済が滞っていると判断されると、返済能力に疑問を抱かれることになります。
そのため、他社からの借入状況を整理して、可能な限り減らしておくことが審査通過のためには重要です。特に、創業融資は初期の事業に対しての支援ですので、既存の負債が新たな融資に与える影響を考慮しておきましょう。
他社借入の滞納が審査に影響を与える
他社借入の滞納履歴は、日本政策金融公庫の審査において重要な影響を与えます。借入の返済が滞っている場合、融資審査に通過しにくくなる可能性がありますので、その点をよく理解しておきましょう。
✅ 滞納が与えるリスク
例えば、クレジットカードやカードローンの返済を滞納していると、その支払い能力に疑念を抱かれることになります。滞納履歴がある場合、金融機関は貸倒れのリスクを避けるため、融資を慎重に判断します。結果として、融資が承認されないことがあります。
滞納が審査に与える影響は、他の借入状況とも関連してきます。返済の履歴に問題がある場合、融資の可否は申込者の信用状況を総合的に判断して決まります。そのため、滞納を解消して、返済計画を見直しておくことが重要です。
信用情報が審査に与える影響
返済能力の判断材料の一つに「信用情報」があります。信用情報に問題があると、日本政策金融公庫の審査に落ちる可能性があります。審査に不安がある人は、信用情報が審査にどのように影響するかを理解しておくことが重要です。
✅ 信用情報の審査ポイント
1. 返済状況の履歴
- 延滞や滞納歴があるか?
- 借入金は完済されたか?
2. 取引事実の履歴
- 任意整理や個人再生の経験があるか?
- 自己破産歴があるか?
日本政策金融公庫の担当者は、信用情報を確認する際に返済状況と取引履歴を注視します。返済状況や取引履歴に問題があれば、融資を断られることがあります。
信用情報に問題がある場合、日本政策金融公庫の審査に通過しない可能性があります。審査に不安がある人は、信用情報の確認と整理を進め、審査に備えることが大切です。
信用情報の傷が審査に与える影響
信用情報に傷があると、日本政策金融公庫の審査に影響を与えます。信用情報に問題がある場合、審査に落ちる可能性があるため、審査を受ける前にその点を理解しておくことが重要です。
✅ 信用情報の「傷」とは?
信用情報に傷があるというのは、延滞や滞納歴があることを指します。この状態を「ブラック」とも呼びますが、ブラックリストという特定のリストは存在しません。しかし、信用情報に問題があれば、「信用ブラック」とみなされることがあります。
日本政策金融公庫では、申込者の信用情報を審査の一環として確認します。もし延滞や滞納が確認されれば、返済能力に疑問を抱き、融資が否決される可能性があります。
信用情報に問題がある場合、日本政策金融公庫の審査に通らないことがあるため、審査を受ける前に自分の信用情報を確認し、整えることが大切です。
日本政策金融公庫の審査に通るためのコツ:事前準備
日本政策金融公庫の審査に通るための重要なポイントは、事前準備です。創業前の準備が、創業後の経営に大きな影響を与えます。日本政策金融公庫の担当者は、そのこをを理解しているので事業の準備にどれだけ力を入れているかを重視し審査の中で確認します。審査を受ける前にしっかりと準備を整えましょう。
✅ 創業計画書の準備
創業融資を希望する場合、まず創業計画書を作成します。事業の構想を明確に伝えるため、以下の点を考慮して準備しましょう。
- 事業の将来像
- 現状の整理
- 課題の抽出
これらをしっかりと整理して、計画書に落とし込みます。
✅ 面談の準備
面談当日にも十分な準備が必要です。担当者に自分の事業や計画をしっかりと伝えるために、以下の観点から準備を進めましょう。
- 事業内容
- 商品やサービスについて
- 資金計画
事前準備をしっかり行うことで、日本政策金融公庫の審査に通る可能性が高まります。事業計画や面談準備を万全に整え、審査を迎えましょう。
審査に不安がある人は専門家に相談を
日本政策金融公庫の審査に不安がある場合、専門家に相談することを検討してみましょう。専門家に相談することで、審査に通るためのポイントや対策が明確になる可能性があります。
✅ 専門家の候補:「認定支援機関」
一つの選択肢は、認定支援機関に相談することです。認定支援機関は融資支援を行っており、申請時のサポートを提供してくれることがあります。専門家のアドバイスを受けることで、審査の不安を解消し、準備を進めることができるかもしれません。
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