不許可事例の紹介
今回は,留学生の就労ビザへの変更のお話です. 留学生の方が,大学を卒業して就職する際,働きだす前に留学生ビザから就労ビザに変更しないといけません.
日本の会社から内定を貰ってから,ビザの切り替えをすることになりますが,
変更申請をしたからと言って,必ずしもビザが許可されるとは限りません.
ここでは,不許可事例を紹介して,不許可のポイントを解説したいと思います.
申請した内容と実体が違う
では,一つ目の事例を見てみましょう.
大学の経済学部を卒業した留学生が,会計事務所に就職するということで留学生ビザから就労ビザに変更申請をしたというお話です.
ですが,その申請した書類に書かれている,その会計事務所の所在地には会計事務所ではなく,料理店がありました.
入国管理局は,申請者に対して説明を求めましたが,その申請者はしっかりと対応しなかったみたいです。
そのため,この申請の技術,人文知識,国際業務の在留資格該当性が認められず,
申請者の就労ビザへの変更は不許可になりました.
この事例のポイントは,申請した内容と現実が異なることです. どうしても,日本に住みたい.ビザが欲しいと思われましても,嘘をついてはいけません.
嘘をついて,申請すると厳しい罰則がありますので,絶対に虚偽の申告は避けてください. この事例では,留学生ビザから就労ビザに変更申請でしたが,基本的に嘘の申告したら,その後はビザは一切許可される事は無いと思っていたほうが良いです。
単純作業では就労ビザは許可されません
では,二つ目の事例を見てみましょう.
教育学部を専攻し卒業した方が,お弁当の会社に就職するという事で,就労ビザへの変更申請をしたケースです.
その就職先では,弁当加工工場で弁当の箱詰めをするという事で採用され,ビザの申請も,そのようにしました。 ですが,この申請に対して,技術,人文知識,国際業務の在留資格該当性が認められず就労ビザは不許可になりました.
この不許可事例で大事な点は,単純作業と考えられる業務では就労ビザは取れないということです.
ここでの単純作業という意味は,入国管理に関する法律や入国管理局が
単純作業と認めるものです.
例えば,他にどのような業務が単純作業と考えられるかご紹介します. コンビニでのレジ打ちや陳列作業,清掃員等も単純作業と考えられています. 街中のコンビニで,外国人のアルバイトをよく見るという方もいらっしゃると思います.
あの外国人の方々は,留学生ビザで資格外活動許可というモノを取得して働いているか,日本人の配偶者等などの身分系の在留資格をお持ちの方です.
資格外活動許可や身分系の在留資格については別の記事や動画にて解説しておりますので,そちらの参照をお願いいたします.
同じ業務なら日本人も外国人も同じお給料
では,他の不許可事例のお話です.
大学の工学部を卒業して,コンピューター関連会社に務めるために就労ビザへの変更申請をしました.その外国人の方は,月に13万5千円のお給料をもらうという契約で,そのようにビザの変更申請書にも,そのように記載しました.
ですが,この外国人の方の就労ビザへの変更は不許可になりました. 理由は,この外国人の方と同時に雇われた日本人の方のお給料が,同じ種類の業務であるにも関わらず18万円であるという事がわかったためです.
このように,外国人であるからといって同じ業務をする日本人より報酬を下げると就労ビザの許可を得ることはできません.
就労ビザの申請では,申請する外国人の方はもちろんですが,雇用する企業も審査されます.
今回の記事では,3つの不許可事例を紹介しました.外国人を採用される企業さま,外国人ご本人様の参考になればと思います.
ビザの手続きは様々なパターンがあり誤って申請してしまったりすると不許可になります.
外国人の雇用・転職に関する就労ビザのご相談
ご自身で申請される前に,是非,行政書士シローズ国際法務事務にご相談いただけたらと思います.
「留学生の在留資格「技術・人文知識・国際業務」への変更許可のガイドライン 別紙1(事例)」(法務省) (http://www.moj.go.jp/nyuukokukanri/kouhou/nyuukokukanri07_00091.html)を加工して作成